好きな仕事ができれば、は危険
仕事をたびたび変えた20代半ば。
不思議とこうした時期でも借金はしなかった。
東京に住んで家賃は5万円。
もちろん実家からの援助もない。
給料が安くても、正社員となり毎日会社に行くと、何とか暮らせるものである。
とは言っても高い洋服や化粧品を買う余裕はない。
部屋もおしゃれに飾り付ける気にもならない。
毎日の食事も貧しかった。
たまに友達と飲みに行ったり、半年に1回ぐらい1泊旅行に行くのがせめてもの贅沢であった。
そんな生活だったが貧乏だとの自覚がなかったんだろう。
次の会社もまた給料が安いところを選んでしまった。
編集の仕事ができるだけでいいと思ったのである。
観光みやげものの業界紙であった。
好きな仕事ができればお金は二の次という考えは危険だと今にして思う。
貧乏はとても消耗するのだ。
もっと20代がお金に余裕があれば、あとの人生はもっと変わっていたはずだと思わないではいられない。